八日目の蝉 読書感想文


八日目の蝉 読書感想文

逃げて、逃げて、逃げたら母親になれたのだろうか。

主人公、恵理菜は赤ちゃんのころ、父親と交際していた希和子によって誘拐されました。

希和子は、一度子供ができたのだけれど 「産まないほうがいい、自分が離婚してからの

ほうがいい」といわれ、子供をおろすことに。

しかし、離婚する気はさらさらなかったようで、2人の間に恵理菜が生まれました。

希和子は、その子供を見たいと思い、交際相手だった秋山という人の家に忍び込みました

そこには、6ヶ月ぐらいの女の子がいました。

そして、希和子はその子を誘拐してしまったのです。

希和子は、子供に薫とつけ、その日から希和子と子供の薫は、住む場所を点々としていき

、 エンジェルハウスという、住み込みで働く所に身を置きました。

エンジェルハウスという所は、離婚した、子供が亡くなった、子供が産めないというワケあ

りの女性が集まった宗教団体みたいな所でした。

そこで2年半ぐらい住みますが、また逃亡します。

次に行ったのがエンジェルハウスで仲良くなった久美の実家でした。逃亡する日に久美か

ら「私は元気だ」と伝えておいてほしいと言われ、行くことにしたのです。

そこでは、久美の母から親切にされ住み込みで実家の麺屋で働いていました。

しかし、地元のお祭りで薫と希和子は写真を撮られその写真が、コンクールで佳作になり

新聞にとりあげられたことから、希和子とわかり、最終的には捕まってしまいました。

主人公は、赤ちゃんを盗むという、道徳的には絶対に許せないことをしてるんだけど、彼

女の行動に、ある種の納得というか理解というか同情というか、そういったものを感じずに

はいられなませんでした。

確かに、子供の薫にも悪環境で自分にとっても逃げて、逃げて、逃げてばかりの生活で

どうして嫌にならなかったのかな?とも思います。それは多分薫という子供がいたからだと

思います。

薫が心の支えだったんだと思います。

薫の母親として生きて生きたい。

希和子の叶わぬ願いは、とうとう届かずに捕まってしまったわけです。

「その子、朝ごはんまだなの」

この言葉は希和子が捕まる際に言った言葉です。

この言葉から、希和子がどれだけ薫を愛していたかがよくわかりました。

自分が捕まってしまったのに、4年間愛情深く育ててきた薫のことを心配し、発せられたこ

の言葉には感動しました。

 

そして数年が経ち、恵理菜(薫)は、大学生になりました。

恵理菜はエンジェルハウスでよく遊んでいた千草に再会します。

千草は、この誘拐事件のことの本を出版するため、取材をしていました。

最初、恵理菜は千草が誰だかわかりませんでした。

が、しだいに打ち解けあい、取材のための旅行に行くことになりました。

行き先は、事件にまつわる場所で、希和子が逃亡して身を寄せていた所です。

その頃、恵理菜には妻がいる塾の同僚だった男性の間の子ができます。

恵理菜ははじめ、希和子みたいにはなりたくないと思い、拒みました。

しかし、妊娠を確認した先生から「緑のきれいな頃に生まれる」と言われ、そのお腹の中に

いる子に見せてやりたいと思い、出産を決意しました。

その子は、恵理菜みたいな思いはせずに育ってほしいです。

恋人の子供を誘拐して育てて幸せを感じてた主人公。

そして、本当の家に戻ってきたのに幸せを感じれない、娘や被害者家族。

娘は何も知らないからこそ、誘拐犯を母だと思い、幸せな日々を過ごします。

じゃあ、娘にとって幸せな日々は誘拐犯と過ごした時期がずっと続いた方が良かったのか

、と思うとそれもまた違うと思います。


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